グルテンはカラダに良くないって本当?正しく理解してパンやパスタを楽しみ腸活するコツ≪腸の辞典≫

パン・パスタ・グラタン…多くの料理に使われている小麦。実は人によっては腸に負担をかけてしまうことも。

仕事や家事に追われているときにはお手軽・時短で作れるものが多く、忙しい方の味方でもありますよね。

このコラムでは「小麦」をおいしく食べ、体調や体質によって選択できるような知識をお伝えします。

腸活を続けていく上で知っておきたい小麦について、今回はグルテンフリー小麦アレルギーについても触れながらお話していきます。

1.グルテンとは

グルテン」という言葉を聞いたことはありますか。

グルテンとは、パンやうどんなどを作る際に出来上がるものです。

小麦粉に水分を加えてこねることで、グルテニンとグリアジンという2種類のたんぱく質が結びついてグルテンとなります。グリアジンはゾヌリンという物質の分泌を促す働きがあります。

小麦粉を使用した食品は、もちもちとした食感がありますが、その食感を作り出しているものがグルテンです。

2.グルテンは腸に悪いの?

小麦を使った食品は身近にたくさんあります。
私が子供のころは何の抵抗もなくみんな食べていたように思います。

そもそもなぜ、小麦は健康に良くないというイメージが拡がったのでしょうか。

それはグルテンアレルギーが影響していると考えられています。

医療機関で抗体検査を行い、グルテンアレルギーと診断された方は小麦製品を摂取しないことで体調の改善が見込めます。

しかし、現時点では医学的にすべての人に対してグルテンフリー食品が有効というエビデンスは無いようです。

安易にグルテンフリーを行うと小麦製品をばっさり排除することになるため、栄養バランスの偏りを招き、かえって太る原因となることも。

別の健康被害をもたらす可能性もあると言われています。

小麦にはビタミンB群に加え、カルシウムやマグネシウムといったミネラル類など栄養的に大切な成分が微量に含まれています。

しかし、近年食物アレルギーを起こす様々な物質が腸を傷つけて細胞間に隙間ができ、そこから有害物質が血液中に流れ出して疲労感、下痢、便秘、腹痛などの不調が現れると言われています。

これをリーキーガット症候群と呼び、リーキーは「漏れ出す」、ガットは「腸」を意味することから日本語では「腸漏れ」と訳されます。

腸漏れの状態になることで、腸だけではなく体の免疫システムのバランスを崩し体の中に起こった炎症がさまざまな病気の原因になることがわかっています。

単に、お腹の調子が悪くなるということだけではなく、高血圧症や脂質異常症などの生活習慣病、ガン、膠原病などの免疫疾患などが腸漏れと関係性があるということが、近年の研究からわかってきています。

小麦アレルギーと診断されている人以外でも、小麦製品を食べてしばらくするとお腹の調子が悪くなるという方は腸漏れの状態かもしれません。

3.小麦製品の食べ過ぎにはご注意!

小麦アレルギーがないからといって、朝・昼・夕とパンやパスタ、おやつにクッキーと小麦製品ばかり食べている生活を続けていると腸内環境の悪化を招いてしまいます。

そうして前述した腸漏れの状態が続くこととなり、いずれは有害物質が血中に入り込み腸の炎症を起こしてしまいます。

なぜならグルテンは腸内細菌の悪玉菌のエサとなるからです。

腸内細菌叢が悪玉優位となってしまうことで下痢や便秘などの腸の不調を引き起こします。

悪玉菌は腐敗物質を出すため、それが腸管壁から全身へと流れると、病気の原因にもなってしまいます。

体のだるさや疲れやすさ、イライラしやすいといった症状が出てくる方もいます。

しかし、これらのことがわかっていても、どうしても食べたいときはありますし、家族や友人と外食するときにすべての小麦製品を避けることは困難ですよね。

小麦製品を食べた後は和食中心の食事を心がけ、出来るだけ連続して食べないようにしましょう。

4.小麦製品をお米で代用出来る

小麦製品を完全に断つのではなく、食べる量を少し減らすだけでも腸への負担を減らすことが出来ます。

食生活の欧米化により米離れが進んでいるそうですが、小麦製品の代用として米が再注目されてきているのです。

例えば、焼きそばは焼きビーフン、ラーメンは春雨スープやフォーに置き換える、パンは米粉を使用した物を買う、クッキーをおかきにする、などです。
米粉や豆を使用した製品も身近に増えてきました。

しかし、商品を買うときは後ろに記載されている成分表示を見てください。
米粉製品と謳われている商品にも小麦が含まれているものがあります。

また、主食としての米は、腸活の観点から3食のうち2食は摂りたいところです。

毎日ごはん2膳分くらいの糖質は脳が消費しています。

パンやパスタなどの食べすぎでは太っても、米の食べ過ぎで太った人というのは少ないのです。

食物繊維をエサとして生息する善玉菌にとっても、主食から得られる食物繊維は欠かせません。

ごはん一杯150gに含まれる食物繊維は約0.5g、玄米ごはん1杯には白米の4倍の2.1g含まれているため、米は積極的に食べたいですね。

特に、朝食で米やお味噌汁などでしっかり食物繊維を摂取すると「セカンドミール効果」と呼ばれるしくみが働き、食欲を抑制するホルモンが分泌されます。

それにより血糖値の急上昇が抑えられ、脂肪がつきにくくなることが最近の研究で分かってきました。

「セカンドミール効果」が働くには、腸内の善玉菌が食物繊維をエサにして、短鎖脂肪酸を産生する必要があります。

5.まとめ

いかがだったでしょうか。
私自身、小麦をどこか「悪者」として認識してしまっていました。

とても美味しい小麦製品の数々。
我慢するのは腸にとっても、精神的にもよくありません。

日々の食事の楽しみとして適度に取り入れつつ、食べ過ぎてしまった時にはお米や発酵食品を取り入れた和食で腸を休ませてあげることを意識してみませんか?

参考文献
◍農林水産省 
https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/1201/report.html
◍厚生労働省
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-001.html
◍オレンジページNET 
https://www.orangepage.net/ymsr/news/daily/posts/3554
◍医療法人全人会小西統合医療内科
https://www.konishi-clinic.com/medical_information/archives/345
◍婦人画報
https://www.fujingaho.jp/lifestyle/beauty-health/a37286905/ryokohonma-adrenal-fatigue-211021/

✒コラム執筆
腸の学校®認定講師
緒方 真智子(MACHIKO OGATA)

緒方真智子インストラクターを
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