腸内環境を整えアレルギーを軽減させよう!《腸の辞典》

現代人に増えていると言われる様々なアレルギー。

私自身も花粉症、アレルギー性鼻炎に長年苦しんできました。

点鼻薬や抗アレルギー薬を使いながら、毎年やりすごしてきましたが、腸活をしていく中で少しずつ症状が軽減してきているのを感じています。

今回はまだ明らかになっていないメカニズムも多い、腸とアレルギーの関係について、分かりやすくまとめてみました。

最後にレシピも載せていますので参考になれば幸いです。

1.免疫とアレルギー

免疫はウイルスや病原菌などの外敵と戦うための仕組みです。
免疫細胞(白血球など)がつねに全身をパトロールし、敵を見つけては攻撃し排除してくれています。

免疫細胞が本来は無害な花粉などに過剰に反応し暴走して起こるのがアレルギーです。

2.アレルギーの予防、治癒には腸内細菌が作る短鎖脂肪酸がカギ!

暴走した免疫細胞をなだめて落ち着かせてくれるのが、近年注目されている「Tレグ」と呼ばれる細胞です。

もともとは外敵を排除する役目をもつT細胞ですが、未熟なT細胞が成熟する段階で短鎖脂肪酸が作用するとTレグが増えることが分かってきました。

慶應義塾大学教授の本田賢也さんがこの大発見をされ、現在も急ピッチで研究は進められています。

「潰瘍性大腸炎」や「クローン病」という、免疫細胞が暴走して腸の細胞を攻撃してしまう自己免疫疾患。
将来的には、その他の自己免疫疾患やさまざまなアレルギーの治療への応用も期待されています。

3.短鎖脂肪酸の役割

短鎖脂肪酸がたくさん生成されると、大腸内は酸性に傾きます
この酸性の環境下では、体に害をおよぼす菌を減らすことができます。

また、大腸にある上皮細胞の貴重なエネルギー源としても欠かせません。

大腸上皮細胞は、水分や栄養の吸収、病原菌に対する粘膜のバリアを張る、といった役割を担っています。
しかし、きちんと機能しなければ腸内細菌のバランスが崩れてしまうことで、炎症が起きる原因となります。

通常、細胞とは血液から運ばれてくる栄養を受け取ることで活動しています。
ですが、大腸の上皮細胞に限り、血液由来の栄養よりも、腸内細菌による発酵で作り出した短鎖脂肪酸を優先的にエネルギーとして補給する性質をもっています。

4.短鎖脂肪酸を増やすには?

では、短鎖脂肪酸は何を食べれば腸の中で増えるのでしょうか?

短鎖脂肪酸は腸内細菌が食物繊維を分解する中で生じる物質の一つと考えられています。

では、食物繊維をとにかくたくさん摂れば良いのか、というとそうではありません。

食物繊維は大きく分けて「水溶性食物繊維」と「不溶性食物繊維」に分けられます。
これらをバランス良く摂取することが大切です。黄金比率は水溶性:不溶性=1:2と言われています。

水溶性食物繊維を多く含む食品例:こんぶ、わかめ、みかん、アボカドヌルヌルした物質で、腸の中で水分と一緒になり、ドロリとしたゼリー状に変化する。このゼリー状の食物繊維が、消化の過程で生じた老廃物や有害物質など、身体に不要なものを吸着して、便として排泄される。
不溶性食物繊維を多く含む食品例:玄米・人参・レタス・干し柿・大豆・ゴボウ・こんにゃく水に溶けにくく、腸内で水分を吸収してふくらむことで、便のカサを増やし、腸壁を刺激して腸の蠕動運動を促す。
※水分が少ないと便がカチカチになり便秘やおなかの張りを引き起こすことも。

5.食物繊維を楽に摂れるおすすめレシピ

☆塩麴のポトフ☆

寒い季節、簡単で温かいスープで腸を温めながら、食物繊維もたっぷり摂れます。

◍材料(2人分)
玉ねぎ…大1/2個(100g)
じゃがいも(さつまいもや里芋でも可)…小3個(120g)
キャベツ(5㎝幅くし切り)…2個
人参…4㎝(40g)
かぶ…大1個(100g)
セロリ…1/3本
しめじ…20g
水…2カップ
塩麴・酒…各大さじ2
塩・こしょう…お好みで

◍作り方
①じゃがいもとキャベツ以外の野菜は食べやすい大きさに切る。
②鍋に野菜と水を入れて中火にかける。沸騰したら塩麴を加え(煮込む前に入れると煮崩れ防止になります)、さらに酒を加える。
③蓋をして弱火でキャベツが透き通るまで煮て、火を止め、冷ます。
④いただく直前に火を入れ、塩・こしょうで味をととのえる。

☆酒粕バーニャカウダ☆

酒粕がにんにくの臭みを程よく消し、香ばしい味わいです。

お好きな野菜に付けてもりもり食べられます。

◍材料(2人分)
酒粕…30g
まいたけ(ほぐす)…1パック
なたね油…大さじ2
塩…小さじ1

旬の野菜…適量

=A=
酒粕…40g
にんにく(半分に切る)…6片    
水…150ml
塩…大さじ1/2

=B=
オリーブオイル…大さじ3
なたね油…大さじ1

◍作り方
①鍋にAを入れて中火で煮る。鍋底にへらで線が引けるほどに煮詰まったら火を止める。
②フライパンに油を熱し、中火で酒粕を炒める。軽く焦げ目が付いたらまいたけを加え、塩をふって弱火で炒め合わせる。10分ほど炒めて全体を香ばしく仕上げる。
③フードプロセッサーに①と②、Bを入れて撹拌し、ペースト状にする。
④旬の野菜に③をつけて頂く。

6.まとめ

コロナ禍により、消毒や殺菌された環境で生活することでますます何らかのアレルギーを持つ人が増加するとも言われています。

しかし、腸内細菌について調べていくうちに、腸活を続けていくことが腸内環境を改善し、腸内細菌が住みやすい腸にしてあげることで、アレルギーも予防・軽減していくことが出来るのだとわかりました。

治すことは難しいと言われている疾患も、腸内細菌の働きを向上させることで治せる。
そんな日が来るのかもしれませんね。

毎日の食事に少しだけ、腸が喜ぶ食事をあなたも加えてみませんか?

<参考・引用文献>
腸内フローラ10 NHKスペシャル取材班著 主婦と生活者 P88~95
寺田本家発酵カフェの甘酒・塩麴・酒粕レシピ 寺田聡美著 家の光協会 P46~47、P86~87
体の不調が消える腸を温める食べ方 松生恒夫著 青春出版社 P44~45
 
<WEB>
短鎖脂肪酸って何?知られざる健康効果とは -Food for Well-being -かわしま屋のWebメディア- (kawashima-ya.jp)
https://kawashima-ya.jp/contents/?p=26447 2021.12.2閲覧

✒コラム執筆
腸の学校®認定講師
緒方 真智子(MACHIKO OGATA)

緒方真智子インストラクターを
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