腸の辞典 / 腸活レシピ

腸活におすすめの発酵食品「甘酒」&スーパーで購入できる甘酒の飲みくらべ《腸の辞典》

甘酒の歴史は古く、江戸時代の人々は、冬場の寒さは火にあたりしのげても、からだの弱った人にとって夏場の暑さを乗り越えられない人々が多かったそうです。

そんな時に飲まれたのが1杯の甘酒。

それは夏の暑さを乗り切る「飲む点滴」体力回復、熱中症予防に役立つ存在だったのだろうと思います。

近年の甘酒ブームで、専門店や各県のアンテナショップ、スーパー、コンビニにも甘酒が置かれるようになりました。

今回は、現代人にもとても魅力的で腸活におすすめの発酵食品である甘酒をご紹介いたします。

       

 

1.甘酒の種類と選び方

甘酒の種類
甘酒は大きく分けて米と麹を用いた甘酒(以下、麹甘酒)と酒粕を用いた甘酒(以下、酒粕甘酒)があります。
※この他に米麹と酒粕の良い点を合わせたタイプの甘酒も登場しています。


甘酒の選び方
①麹甘酒⇒市販品は原材料表示を確認し、上記の表に書いてある「米と米麹」や「米麹」だけの原材料を使った甘酒を選びましょう。

②酒粕甘酒⇒形状で板状(板粕)バラ状(バラ粕)練り状(練り粕)などがあります。形状が異なるだけなので使う用途によって選ぶとよいでしょう。      

今回は「アルコール0%」「砂糖不使用」「年齢問わず飲める」ということから「麹甘酒」についてお伝えしていきます。

 

2.適量は?いつ飲むのがおすすめ?

一日の目安量は?

「麹甘酒」一日の適量には個人差がありますが、おおよそ一日100~150mlくらいを毎日続けることが大切なポイントです。


(*1)(日本食品標準成分表 八訂)
(*2)(八海山 麴だけでつくったあまさけ)

◍市販品の甘酒のカロリーは(商品により違います)100gあたり80~110kcal程度。  

◍「麹甘酒」は砂糖不使用ですが、し好飲料の中では糖質は高めです。

飲みすぎは糖質のとりすぎ、カロリーをとりすぎる原因になります。

くれぐれも注意しましょう。

いつ飲むのがいい?
毎日飲むことができれば、基本的にいつ飲んでも問題ありません。
朝飲むなら⇒発酵食品の1つである甘酒を朝ごはんにプラス。甘酒に含まれるブドウ糖は、脳のエネルギー源となります。
夕方から夜⇒人がリラックスした状態のとき、腸の動きが活発になっている頃に飲むと腸内環境の改善の結果がでやすくなります。

 

3.腸にいいとされる理由

麹甘酒をとることは、なぜ腸にいいのでしょうか。

腸内環境を整える「腸活」に「発酵食品(菌)と食物繊維(エサ)をセットでとる」方法があります。

腸の中には数百兆個の腸内細菌が存在します。腸内細菌は、善玉菌20%、悪玉菌10%、優勢な方に味方する日和見菌70%の割合がよいとされています。

これに近づけるためには、日和見菌を味方につける、善玉菌を増やすことが重要になります。

麹甘酒に含まれる麹菌は「善玉菌」の1種です。

通常はこれに食物繊維をプラスしてとるのですが、麹甘酒はもともと植物からできているので食物繊維も同時にとることができます。

麹甘酒はそれだけで、腸内環境を整える役割をしてくれる飲み物という訳です。

この他にも「飲む点滴」と呼ばれる麹甘酒にはブドウ糖、オリゴ糖、ビタミンB群、必須アミノ酸など多くの栄養が含まれていて、疲労回復、免疫力を整える、便通改善、美肌効果、アンチエイジングなどの効果が期待できます。

 

4.甘酒飲みくらべ

スーパーで手に入りやすい「麹甘酒」3種類を飲み比べしました。
個人の感想です。ご参考までにご覧ください。

※左から八海山「麹だけでつくったあまさけ」、国菊「あまざけ」、秋田「大地の甘酒」

左から八海山「麹だけでつくったあまさけ」、国菊「あまざけ」、秋田「大地の甘酒」

 

①八海山「麹だけでつくったあまさけ」

原材料名:米麹(国産米)

甘味:口にふくむとはっきりした甘さを感じます。

粒感:グラスにそそぐと細かい粒々感があります。口に入れると気ならない程度です。少しとろみを感じます。

酸味:全くありません。

飲み心地:後味はすっきりしています。何かと割ったりしても美味しくいただけると思います。

使い勝手:米麹のみで作られたストレートタイプです。

甘さもあるタイプなので、料理、お菓子作りの砂糖代わりにも使うのもおすすめです。

                 

②国菊「あまざけ」

原材料名:米麴、米(国産米100%)

甘味:甘さはありますが、優しく感じます。

粒感:粗越しタイプ。粒々感も多め。粒々感が楽しめます。

酸味:全くありません

飲み心地:素直な甘さ、粒々感を感じつつ噛んで飲む甘酒。くせの少ない甘酒。

使い勝手:ストレートタイプ。料理、お菓子作りの砂糖代わりとして。粒々感が気になる料理の場合はブレンダーにかけたりうらごしが必要です。

粒々感を楽しむならそのままヨーグルトにかけたり、凍らせてシャーベットにしたりも美味しいと思います。

 

③秋田「大地の甘酒」

原材料名:米こうじ。秋田県オリジナル糀「あめこうじ」100%使用。

甘さ:米こうじのみで作られていますが、甘味はすっきりしています。濃さはあまり感じませんでした。

粒感:グラスにあけると粒々感が確認できます。少し粗目に砕かれています。粒々感はありますが多くはないです。

酸味:ほとんど感じません。

飲み心地:さらっとしていています。甘酒の甘さが苦手な方も飲みやすいと思います。

使い勝手:ストレートタイプ。料理、お菓子作りの砂糖代わりに使えると思います。こうじの粒々感が気になる場合はブレンダーにかけたりしなめらかにするとよいと思います。

【まとめ】

甘さ:八海山>国菊>大地の甘酒

粒々感:国菊>大地の甘酒>八海山

5.甘酒アレンジレシピ

なすの煮浸し

甘酒を使うことでやさしい甘さの煮浸しに仕上がります。

よく冷やしてお召し上がり下さい。

<なすの下ごしらえ>

①なすは洗ってへた、がくを落とす。縦半分に切り、皮目に斜めに細かく切り込みをいれます。
②①のなすを2等分に斜め切りし、水につけてアクをぬきます(10分くらい)
※切り込みを入れることで、出来上がりがきれい、食べやすい、味が入りやすくなります。

 

材料(4人分)
・なす…4~5本(400g)
・水…150ml(3/4カップ)
・赤唐辛子…1本
・甘酒(米麹のみのストレートタイプ、八海山を使用)…大さじ3
・本みりん…大さじ1
・醤油…大さじ1と1/2
・サラダ油…大さじ2


作り方
①鍋にサラダ油をひき、水気をきったなす、二つに切り種をとった赤唐辛子を加え炒めます。
(この時、皮目を下にして炒めると仕上がりがきれいな色になります)
②なすに油がまわったら、水、甘酒、本みりんを加え落し蓋をして5分ほど煮ます。
③②にしょうゆを加え落し蓋をして更に3分煮ます。
④火からおろし、冷まして味をなじませます(冷めたら冷蔵庫へ)
※油で揚げなくても、少し多めの油で炒めてから煮るとコクがでます。
炒めるとき、煮るときは、皮目を下にするとなすの色がきれいに仕上がります。
※赤唐辛子は、苦手な方、お子さま向けにはなくても大丈夫です。
※お使いになる甘酒で甘味が異なるので、甘酒、本みりんの分量はお好みで調節してください。

 

甘酒の歴史は古く、昔から健康(滋養強壮)のために飲まれてきました。『飲む点滴』と言われるほど腸やからだ、美容に効果的と言われています。ただ、即効性があるわけではないですし、カロリーもごはんを食べるのと変わらないくらいあります。毎日適量を飲み続けることで腸内環境を整える手助けをしてくれます。

 

参考文献(2021年8月8日参照)

1.小泉武夫 食 マガジン
https://koizumipress.com/archives/9976

https://koizumipress.com/archives/13046

2.森永製菓株式会社 甘酒LAB.
https://www.morinaga.co.jp/company/rd/amazake_labo/report07/

3.月桂冠総合研究所
https://www.gekkeikan.co.jp/RD/keyword/amazake/

4.月桂冠株式会社
https://www.gekkeikan.co.jp/enjoy/qa/sake/sake03.html

4.厚生労働省 e-ヘルスネット・ブドウ糖
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/ほdictionary/food/ye-030.html

5.日本食品標準成分表2020年版(八訂)