実は産まれた瞬間から始まっている!?腸活のスタート地点《腸の辞典》

腸活はいつから始めたらいいの?こんな質問を耳にします。

私たちの健康を左右する「腸内環境」、一体いつからどのように形成されるのでしょうか?

今回は産まれたばかりの赤ちゃん、さらにはお母さんのお腹の中にまで遡って腸活のスタート地点をお伝えいたします。

妊娠を心待ちにしている女性、マタニティ、ママさん必見です!

1.赤ちゃんはママ似⁉腸内細菌という贈り物

お腹の中の赤ちゃんはもともと無菌状態です。

赤ちゃんが初めて菌と出会うのは出産のとき。

赤ちゃんは出産時にお母さんの産道を通ることで、お母さんの「菌」を受け継ぎます。

さらに母乳や、スキンシップを通して赤ちゃんの腸内細菌はできあがっていきます。

赤ちゃんがお母さんに似ているのはお顔だけでなく、腸内細菌も似ていきます。

妊娠前や妊娠中のお母さんの腸内環境が赤ちゃんの健康を左右するとても大切な贈り物となります。

2.体だけじゃない、心も支える腸内環境

便秘やお腹の不調のみならず、肥満、アレルギー疾患、大腸がんや肝臓がんなどあらゆる病気、免疫力にまで腸内環境が影響していることはご存じの方も多いのではないでしょうか?

この他にも腸では幸せホルモンと呼ばれる「セロトニン」の90%が造られており精神の安定にも深く関わっています。

子供の意欲や集中力、コミュニケーション能力にも大きく影響すると言われています。

我が子の心身の健康を左右する腸内環境、しっかり整えておきたいですね。

3.3歳までに決まる⁉腸活のゴールデンエイジ

ヒトの腸には1000種類もの腸内細菌が生息し、重さは1~1.5㎏くらいです。

赤ちゃんは産まれるときにお母さんから菌を受け継ぎ、さらに外の世界に触れることで様々な菌を取り入れ腸内に定着させます。

赤ちゃんがハイハイをする頃になると手に取った物をなんでも口へ運びます。実はこれも腸内細菌を形成する上で大切な本能的な行為。

さらには自然や動物との触れ合いからも丈夫な腸内環境がつくられます。

いかに多くの種類の菌を取り入れるか、腸内細菌の多様性こそが健康のカギです。

腸内に菌が定着しやすい時期は3歳頃まで、この期間が腸活のゴールデンエイジです。

4.便はからだからの便り

赤ちゃんの頃はおむつ替えの際ママが便の様子をチェックできますが、気にかけてほしいのはひとりでトイレが出来るようになってから。

子どもの便秘など便の状態を知らないママも多いからです。ぜひお子様と一緒にチェックしてみてください。

ポイントは排便の頻度や、便の量、色、形状、匂いです。便はからだからの便り、便のチェックは親子でできる腸活の第一歩です。

5.頑張らない、親子でゆる腸活

近年大人だけでなく子どもの腸の不調も問題視されています。

これには食生活や生活習慣が大きく関わっています。食物繊維の不足に肉類中心の食生活、さらには運動不足や夜型の生活習慣など、時代とともに子どもの腸内環境も変化しています。

良い腸内環境をつくるには食事が大切。ですがこう言われるとプレッシャーを感じてしまうママも多いのではないでしょうか?

例えば野菜嫌いな子供に野菜を食べさせるのは至難の業。ママがご機嫌でいられる、ゆる腸活を取り入れてみましょう。

インストラクターママが実践している方法をご紹介します。

1.本物の発酵調味料を揃える
醤油、味噌、みりん、お酢などきちんと手間暇かけて天然の菌で発酵された調味料はうま味が強く、子どもの繊細な味覚を育てるのに最適です。

また昔ながらの製法で作られる調味料はその蔵に住み着く代々の菌を豊富に含んでいます。毎日使う調味料だからこそ、本物を選びたいですね。

2.お味噌汁やスープを飲む
お味噌には体をあたためる効果があり、朝に飲むことをおすすめします。

野菜の他に肉や魚、卵などたんぱく源を一緒に入れると栄養満点メニューの出来上がり。

野菜が苦手な場合は野菜の栄養が溶けた汁を飲むことからスタートしてみましょう。

3.よく噛んで食べる
噛むことで唾液が分泌され食化が良くなります。消化機能が未熟な子供はよく噛んで食べることで胃や腸の負担が減ります。

また肥満防止や味覚発達、虫歯予防など噛むことにはメリットがたくさんあります。

食べるときに声かけをする、大人がよく噛んで食べる、食材を大きめに切る、食感がアクセントになる食材を入れるなどお子様に合わせて工夫してみてください。

6.焦らず無理なく!マタニティー腸活

妊娠前から腸内環境を整えておくことが赤ちゃんの健康の基盤になるとお伝えしましたが妊娠中は腸内環境が乱れやすく、便秘になる妊婦さんが多くいます。

妊娠中の便秘は黄体ホルモンの影響や、疲労やストレスによる自律神経の乱れ、運動不足や腸が子宮に圧迫されて動きが弱まるために起こります。

妊娠中はこれまで以上に腸内環境を整える生活を心がけましょう。「焦らず無理なく」がポイントです。

1.水分はこまめに飲む

おすすめは水やノンカフェインのお茶。こまめに飲むのが理想的です。

カフェインや糖分を含んだ水分、冷たい飲みものはなるべく控えましょう。

2.軽めの運動

激しい運動は禁物ですが、ウオーキングやマタニティヨガなど軽めの運動がおすすめです。

運動によって腸の動きが促進されたり、自立神経が整うことで腸も心もリラックス。体調と相談しながら行いましょう。

3.食物繊維+発酵食品

便秘が気になる場合はぬめぬめ系の水溶性食物繊維、オクラやなめこ、葉もの野菜がおすすめです。簡単なのは食物繊維と発酵食品が組み合わさった野菜たっぷりのお味噌汁。

おやつには甘酒もおすすめです。甘酒はアルコールを含まない原材料が「米麹」や「米と米麹」のものを選びましょう。1日100㏄~150㏄が目安量です。

7.あとがき

代々ママから赤ちゃんへと受け継がれてきた腸内細菌。

子供の将来も、その子供の将来も見据えた腸活を、親子で家族で、楽しく取り入れてみてくださいね!

 

参考文献

森永乳業 ビフィズス菌研究所 https://www.bb536.jp/

順天堂大学 アサヒグループホールディングス株式会社コアテクノロジー研究所、岩手県立磐井病院 論文タイトル「βラクタム系抗菌薬と分娩様式は日本人の早期乳児ビフィズス菌とバクテロイデスの占有率に関連する」
https://www.juntendo.ac.jp/news/20210413-01.html

e-ヘルスネット 腸内細菌と健康 
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-003.html

ヤクルト研究所 腸内フローラ②腸内フローラと健康の関わり
https://institute.yakult.co.jp/feature/006/02.php

公益財団法人 腸内細菌学会
 https://bifidus-fund.jp/

6 日本小児歯科学会
 http://www.jspd.or.jp/

✒コラム執筆者
 腸の学校®インストラクター
 津崎未来(TUZAKI MIKU)

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